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誰の為のルールなの?

こんにちは!自立生活センター・ナビの平沼です。第2子の誕生からはや2か月。8年ぶりの新生児に翻弄されながら日々を送っています。

まずは宣伝です。
東住吉区の自立支援協議会では、市民向け企画として、著作「子どものための精神医学」でご高名な滝川一廣さんをお招きし、きたる12月19日午前10時から東住吉区民ホールにて講演会を行います。精神障害を「異常性」としてではなく、人間が本来持っている心の働きの一側面が突出して現れた姿であると捉えた滝川さんのお話が聞けると期待しています。
滝川一廣さん講演会「障害がある人のこころの世界を知るために~発達障害、精神疾患とは何か?」

さて、今回はちょっと専門的なことを書いてみようかなと思います。興味ある人にしか面白くないと思います。今回、ある学習会に向けて資料を作っているときに疑問がわいてきました。

学習会の内容は、介護保険制度と障害福祉サービスの併用について。介護保険のケアマネージャーさんたちに向けた学習会です。

総合支援法の7条には、総合支援法に優先して介護保険を利用すべしとの記載がありますが、厚労省は通知の中で、障害のサービスが使えなくなるわけではないことを何度も強調しています。同じサービスがあれば、介護保険を優先して利用しなければいけない、ということなわけです。はたして本当に同じサービスがあり得るのでしょうか。

調べている中で、ある自治体の集団指導の資料には、「障害福祉のヘルパーができることは、介護保険のヘルパーができることと同じです。」とハッキリ書いていました。その自治体に根拠は何ですかと聞いてみると、8年前に厚労省の担当者に口頭で聞いて、そうだと言ったからだそうです。8年前から今までで、介護保険側のヘルパーに関するルール(一回当たりの時間など)もかなり変わっているし、障害福祉に関しても別の変更がなされたりもしています。

介護保険訪問介護では、老計10号という細かくどんな支援をしてもよい、してはいけない、という国の通知に縛られるようです。しかし、障害福祉ではこのような通知はないはずです。(あるとご存じの方いたら教えてください)自治体によってある程度の裁量があって身体介護の幅をどのくらいまで認めるかなどに違いがありますよね。例えば、精神・知的障害者に対する身体介護のあり方は共働家事に関して認める自治体もあるほどです。

問題なのは、介護保険のサービスを中心に行っている事業所が、介護保険のルールを当てはめ、地域でそれがまことしやかに広がり、果ては行政にまで(行政職員は4年交代が基本なので)そのルールが広がってしまっていることではないのかと感じています。

縦割り行政の弊害がここにも表れているなと感じますが、大阪市では事業所に指導する指導課、介護制度を担当する支援課、介護保険担当課がそれぞれ別々の組織になっていることも課題なのかもしれません。
 
 障害者の支援の場合、(介護保険と同じルールでうまくいく人もいるかもしれませんが)障害者それぞれの特性に合わせた支援が必要であり、日常生活の支援だけではなく、社会参加に向けた支援が必要なので(総合支援法)、その方の状況やライフステージによって支援の内容も変わりますし、柔軟でないといけないと思います。

 ケアマネジメント的に考えれば、ニーズを満たすためのサービスなわけで、本人のニーズを満たせるならば、介護保険によるサービスであれ、障害福祉によるサービスであれ、どちらでも構いません。
 例えば、「身体を清潔に保ちたい」というニーズがあったとしたら、・自宅でヘルパーを使って入浴や清拭を行う・生活介護やデイサービスなど通所サービスで入浴をする・訪問入浴を使う・銭湯にヘルパーと通うなど、いろいろな方策があって、どれを選びどのように利用するかは本人とよく相談して決めるべきです。
そんな時に、どちらのサービスを利用するか選べれば、こんな混乱も少なくて済むのになあと思います。そもそも介護保険は加齢に伴う支援が必要な状態の人への支援であり、総合支援法のサービスは加齢に限定せず障害のある状態の人への支援なので、介護保険の財源全部障害福祉サービスにして、総合支援法一本でいいんじゃないのかなあと思いました。

介護保険と総合支援法の間に横たわる課題はほかにもたくさんありますが、長々と書きすぎてもあれなので、ここらでいったん終わります。

駄文お読みいただきありがとうございました。

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