- イベント情報
- 2020.11.03 (火)
- [ 差別ゼロ社会 ]
強制不妊手術裁判、11月30日大阪地裁判決へ!
1948年(昭和23年)制定の旧優生保護法に基づき、特定の疾病や障害を有すること等を理由に、多くの方が生殖を不能にする手術又は放射線の照射を受けることを強いられました。これは法律が変わる1996年まで続き、被害者は心身に多大な苦痛を受けています。救済策を講じてこなかった国に対して、全国で謝罪を求める訴訟が起きています。
<全国訴訟一覧> (2020.10月現在 弁護団HPより)
・札幌地裁~3名 2019/5/31第4回期日。
・東京地裁~1名 2020/6/30原告敗訴(全国2件目の判決)。
・仙台地裁~5名 2019/5/28原告敗訴(全国初の判決)。2020/9/4控訴審第2回期日。
・静岡地裁~2名 2020/12/25第2次訴訟弁論期日。
・大阪地裁~5名 2020/7/17第1次・第2次結審→ 11/30判決予定。 2020/10/15第3次第1回期日。
・神戸地裁~5名 2020/11/12第10回期日。
・福岡地裁~2名 2020/7/16第1回期日。
・熊本地裁~2名 2020/8/19第9回期日。
計25名 (60~80代。男性11名、女性14名。)
各地の裁判の流れ
コロナ禍の影響で、各地の4~5月の裁判が取り消し・中止を余儀なくされました。現在でも傍聴できる人数は制限されており、各地でZoomによる報告集会が開かれています。傍聴人数を増やして注目度を高めたいところに、この状況は正直痛いものがあります。ただ、このリモート化がなければ他地域の報告集会を聴くこと等はなかったし、会場に行きにくい人でも画面を通じてリアルタイムに参加できるようになったことは救いだなあと感じています。
昨年の仙台判決に続いて、今年6月にも東京地裁において原告敗訴の判決が言い渡されました。これを受けて、改めて日本弁護士連合会(日弁連)の会長も、かいつまむと下記のような声明を出しています。※
「仙台では敗訴だったけど、『優生保護法は違憲だ』ってちゃんと言ってくれたよ?
東京ではそこさえ突っ込んでないって、どーいうコト? 後退しとるがな!
しかも、『1996年※の時点で、被害者は訴えようと思ったら訴えられたはずでしょ、
20年以上たってるからもう時間切れ~~』って、なんじゃそりゃ!!
国や法律によって人権を踏みにじられてきた被害者に対して、
「時間切れ」なんて考え方で逃げようなんぞ、もってのほか!!!」
※https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200715.htmlを参照ください。
※1996年~優生保護法から母体保護法へ。不良な子孫の出生防止にかかわる条項が削除された。
仙台・東京での敗訴を受けて、大阪では何としても勝訴したいところです。ここで敗訴することは、他地域の裁判にも大きく影響します。大阪の判決(第1次・第2次)は11月30日です。
仙台では現在、昨年の判決に対する控訴審※が行われています。第2回期日は9月4日に行われ、私はZoomによる報告集会に後半だけ参加することができました。裁判に参加された方々からの報告では、「裁判官は本当に被害者がどんなに苦しんでるか、わかってるのかな?」「ちゃんと伝わってるんかなぁ…どれだけひどい人権侵害か、重大な問題か、もっともっとわかってもらわないと」等、危惧する声が多かったように思います。これは、私にはけっこう意外でした。と言うのも、大阪地裁でこれまで傍聴していた限りでは、悪くない感触だったからです。法廷でも裁判長は原告に対して配慮しているように見えるし、「判断するためには、事態を明らかにする必要がある。国側も、資料があるならきちんと提出しなさい」と求めていました。大阪の報告集会でも、裁判官に対する危機感としての意見はあまり出ていないように思われます。第1次・2次は同じ裁判長ですが、第3次はまた違う裁判長です。今後も注視が必要です。
大阪の裁判
⼤阪府では、現在原告5名(うち被害者本⼈3名)が裁判を進めておられます。
●1次提訴(2018.9.28) 1名 70代⼥性(後天性知的障害の⽅)
●2次提訴(2019.1.30) 2名 70代⼥性とその夫(聴覚障害のご夫婦)
●3次提訴(2019.12.13) 2名 70代⼥性とその夫 (聴覚障害のご夫婦)
2020年10月15日(木)@大阪地裁
3次訴訟(聴覚障害のご夫婦)の第1回期日。夫は先天性の聴覚障害、⼿術をされた妻は後天的聴覚障害。⼿術は、実家のある福井県の病院で、第1⼦出産の3⽇後に⾏われたそうです。裁判では、冒頭にテレビ撮影が入っていたそうです。裁判自体は20分ほどで終了。その後、弁護士会館にて報告集会。Zoomでの参加者は40名超。
★会場より~旧優生保護法がもたらした問題は、強制不妊手術にだけにとどまらない。この法律がもたらした優生思想が、皆さんの心に浸透してしまったことこそが、問題なのです。
★Zoom参加より~合法的に否定された障害者は、この裁判でもし負けるようなことがあれば、自分の障害をただただ恨むだけ。政府がつけられなかったケジメを、司法は絶対につけなければならない。障害者団体全体でまとまって立ち向かおう!
今後の争点は? 国側は時間切れ(除斥期間20年)を主張していますが、この20年をどこから数えるかによって判断が分かれてきます。私たちは、「原告が自分の被害に気がつき、賠償を求めることが可能になったのは、手術時点ではなく、坂口厚労大臣が国の責任を認めたとき(2004年3月)だ」と主張しています。この部分を大阪地裁はどう判断するのか?判決は11月30日です!
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