Home  日々の活動  令和8年度の障害福祉報酬改定、現場はどう変わる? ー処遇改善・新規参入の見直し・重点ポイントー

令和8年度の障害福祉報酬改定、現場はどう変わる? ー処遇改善・新規参入の見直し・重点ポイントー

令和8年度の障害福祉サービス等報酬改定では、処遇改善の拡充、制度を守るための新規参入へのブレーキ、そしてグループホームや在宅支援などの質の適正化が大きなテーマになっています。「人をどう確保するか」「制度をどう持続させるか」「本当に必要な支援をどう守るか」この3つが、かなりはっきり打ち出された改定だといえます。
障害福祉サービスは3年に一度、前回は令和でいえば6年、3の倍数の年に見直しがあります。今年は8年、4の倍数ですね。つまり定例的な見直しでは間に合わない、臨時ででも行うべき改定が行われました。人材不足物価高・不適切運用など大きな問題への対応です。 では、順番に見ていきましょう。

1. 処遇改善は「全従事者」へ。相談支援も対象に

今回、最も注目されるのが処遇改善加算の抜本的な拡充です。背景には、深刻な人材不足があります。障害福祉の現場では支援ニーズが高まる一方で、人材確保はますます難しくなっています。一方で、令和6年度報酬改定後、障害福祉サービス等の総費用額は前年度比で12.1%増と、過去最大の伸びを記録しました。
国としては、制度の持続可能性に危機感を持ちながらも、現場から人が離れていく状況を止めなければなりません。そこで令和8年6月から、従来の補助金から移行する形で、処遇改善加算が大きく拡充されます。
大きなポイントは、対象が従来の「福祉・介護職員」だけではなく、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者などを含む全障害福祉従事者へ広がることです。
私たちにとって大きいのが、これまで処遇改善の対象外だった計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援が対象に加わることです。
相談支援専門員は、利用者さんの生活全体を見立て、サービスや家族、行政、事業所をつなぐ重要な専門職です。それにもかかわらず、これまでは「直接処遇職ではない」という理由で処遇改善の枠から外れていました。自法人からも白い目で見られていたことでしょう。
今回の改定では、相談支援にも一律5.1%の処遇改善加算が新設されます。相談支援専門員の地位向上と人材確保に向けた、大きな一歩といえるでしょう。加算取得には、キャリアパス要件や職場環境等要件の整備が必要です。ただし、令和8年6月の施行時点で整備が間に合わない場合でも、令和8年度中に対応する旨の誓約を行えば算定が認められます。
本当を言うと、いちいち毎年申請が必要な処遇改善加算ではなく、本体報酬に入れ込んでもらいたいものです。

2. 新規参入にブレーキ。制度を守るための特例単価

次に押さえておきたいのが、制度の持続可能性を確保するための見直しとされている部分です。障害福祉サービス等に係る予算額は、障害者自立支援法の施行時から4倍以上に増加しています。令和6年度報酬改定後の総費用額は、前年度比で12.1%増、約0.5兆円の増。これは過去最大の伸びです。
そこで、就労継続B型 ・ 共同生活援助(GH) ・ 児童発達支援 ・ 放課後等デイサービスを対象に令和8年6月以降に指定を受ける新規事業所に限り、令和9年度改定までの間、基本報酬を一定程度引き下げる特例単価が導入されます。
これらは、年間総費用額に占める割合が1%以上、令和6年度の収支差率が5%以上、過去3年間の事業所伸び率が年5%超となっているサービスです。
また就労継続支援B型では、令和6年度改定後、全国の平均工賃月額が前年度比で約6千円上昇しました。この実態を踏まえ、各報酬区分の基準額を、3千円ずつ引き上げます。
次の段落でも記述しますが、B型については不適切運用がかなり起こっているのでは?そしてその結果として費用が伸びてしまっているのではないか?という懸念もあるのに、報酬そのものを触るのはちょっと乱暴じゃないかと思います。まじめに運営している事業所にはとばっちり。9年度報酬改定までの時限的なことであればいいんですが、9年度以降はさらに下げてくるように思えてなりません。

3. 不適切運用を防ぐ!在宅支援と就労系加算は厳格化へ

今回の改定では、サービスの質の適正化と不正防止も大きな柱です。
特に問題視されたのが、大阪市で発生した絆ホールディングスの事例です。就労継続支援A型事業所と運営法人との間で、同じ利用者が短期間の離職と就職を繰り返しているようにみせかけ(実際には働き方は何も変わらない)、そのたびに加算を取得する行為が問題となりました。本来、就労支援は、利用者さんの安定した就労や生活の質の向上を支えるためのものです。報酬を得るための仕組みとして使われてしまえば、制度への信頼は大きく揺らぎます。
そのため、一般就労への移行実績を評価する就労移行支援体制加算は、令和8年4月から算定ルールが厳格化されます。まず、算定できる対象人数は、当該事業所の定員数まで。さらに、令和6年度改定で導入された「過去3年間に同一利用者による算定がある場合は原則不可」というルールについて、自法人内だけでなく、他の事業所での算定実績も含めて厳格に適用されることが明確化されます。
在宅支援についても見直しが入ります。
コロナ禍を経て在宅でのサービス利用は広がりましたが、一方で、実態の伴わない支援も問題視されています。たとえば、在宅支援としながら、eスポーツ植物の水やりを1日数回行うだけの活動、単なる自習の放置などです。
ナビに届くB型事業所のチラシにも本当に支援になっているのか、と疑問を抱いてしまうような活動内容が書かれていて、テレビが取材に来るほどでした。

今後は、生産活動の内容が、就労に必要な知識や能力の向上に資するものか、市町村による厳しい確認が求められます。また、在宅支援であっても、原則は対面での支援です。オンライン支援を行う場合でも、事業所職員が速やかに利用者のもとへ駆けつけられる体制、週1回以上の評価、月1回以上の通所または訪問による面談が必須要件として徹底されます。
指定申請の入口でも、自治体のチェックが強化されます。安易な事業所開設を勧めるコンサルタントやフランチャイズ元への対応として、指定申請時の面談は、代理人ではなく、法人代表者、管理者、サービス管理責任者に直接行うことが求められます。
不適切な参入を働きかける業者の情報を自治体が把握した場合には、自治体間で共有し、厚生労働省にも報告する仕組みが運用されます。
この国の動きでかなりの数のB型が淘汰されていくのではないかとも思いますが、いま、駆け込み指定がかなりあるそうで、どうなっていくかは不透明です。
大阪市では8月からB型の新規指定はストップ、1年ごとに見直しとしており、この1年で支給決定のあり方を見直すとしています。安易な在宅誘導、報酬から工賃への還元などの不審な動きを何とか精査してもらいたいものですね。

4. グループホームは「量」から「質」へ

グループホームは、急速に増えてきました。一方で、障害福祉の実績や経験が少ない事業者の参入も目立っています。現場からは、利益を優先し、障害特性に応じた支援が行われない「ミニ施設化」への懸念も示されています。これに対して国は、グループホーム運営・支援ガイドラインを策定しました。今後はこのガイドラインをもとに、自治体による実地指導が強化されます。さらに令和9年度以降は、グループホームの管理者に一定の実務経験や研修受講を義務付けるなど、人的要件の厳格化も検討されています。
また、これまでグループホームは総量規制の対象外でしたが、特定地域での過剰参入や質のばらつきを踏まえ、次期障害福祉計画では、総量規制の対象に含める方針が示されています。これからのグループホームは、「どれだけ増やすか」ではなく、「どのような支援の質を担保するか」が問われる段階に入っていきます。

そのほかとまとめ:今後につなげろ8年度改定

上記のほかにもICT活用や同一法人内の連携を前提とした人員配置基準の弾力化、訪問系サービスにおける月単位の定額払い、包括報酬の導入も検討されています。障害者支援施設についても、役割は地域生活への移行セーフティネット機能へ再定義されます。居室の原則個室化・ユニット化が進められ、令和9年度以降は個室化を進める場合のみを施設整備補助の対象とする方向です。既存施設の建替えや改築時には、数割以上の定員削減と一体的なグループホーム整備が求められます。一方で、人口減少地域では、国庫補助金を受けて整備した施設を高齢者施設や児童施設などへ転用する場合、一定条件のもとで補助金返還を求めない特例も拡充される見込みです。
令和8年度改定は、急増する費用への応急的な対応であると同時に、2040年を見据えた制度の再設計の始まりです。
処遇改善で人材を守り、過度な新規参入にはブレーキをかける。
不適切な報酬算定や形だけの在宅支援を見直し、グループホームは量から質へ転換する。
どれも後追いばかりで正直もっと前から課題は分かっていたことでは?と思うところもありますが、着手しはじめたことは評価したいと思います。が、本当に障害者の地域生活に役に立つのか、まじめにやっているところがバカを見ないようにできるのか、注視し、意見を伝えていきたいと思います! (文責:平沼)

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