Home  日々の活動  優生政策の被害者はだれか~今も続く被害者を見つめて ―日弁連人権擁護大会プレシンポジウム―

優生政策の被害者はだれか~今も続く被害者を見つめて ―日弁連人権擁護大会プレシンポジウム―

7月11日大阪弁護士会館で優生保護法問題をテーマに開催されたシンポに参加しました。
1.大阪弁護団からの大阪の優生保護法違憲訴訟の取り組み報告(辻川弁護士、小川弁護士)、2.原告(仮名 野村夫妻、加山夫妻)からのお話、3.隔離収容政策の被害者のお話(仮名 星さん)、4.基調講演(東俊裕弁護士)、5.これからに向けて(東弁護士、山口弁護士、辻川弁護士)という充実した内容でした。

特に、東弁護士の基調講演「優生政策の被害者は優生手術等を受けた人だけなのか」はとても考えさせられるものがありました。

断種(不妊手術)は優生政策の一部

精神科医であり、厚生省官僚であった青木延春は、「優生課の仕事は断種法の制定を目指すだけでなく、精神異常者(ママ)、中毒者の発生予防を主眼とし、優良健康な次世代の国民を作ることを目標としているとして、優生結婚、隔離、保護治療、去勢、断種その他有効な手段はことごとく実施して素質の向上を図ろうとしている」と記しています。その他、当時の専門家の認識の紹介がありました。
そして、1960年代優生手術件数が減少に転じた頃、精神薄弱者福祉法が制定され、全国的なコロニー網の整備が行われ、精神衛生法の改正、精神病床の増加、院内、施設内での男女の性的な分離が強化されていったそうです。これは、「優生手術から隔離による優生政策へ」転換を表しているのでないかというお話でした。

施設内での性的分離によるリプロダクティブ・ライツに対する侵害

優生保護法問題の最高裁判決は、身体的侵襲を受けない権利を認め強制不妊手術被害者の被害を救済したが、子どもを産む権利、リプロダクティブ・ライツに言及しておらず、地裁・高裁で主張されていたリプロダクティブ・ライツを採用しない理由も述べていないと指摘されました。

入院、入所によって、①婚姻適齢年齢を含む一般社会からの長期隔離、②施設内での時間帯や空間による性的分離、③スタッフによる性的行動の監視、抑制がなされ、性を有する者として、関係を取り結ぶ機会を奪われ、子どもを産む自由やリプロダクティブ・ライツが侵害されることを正面から見据える必要がある、被害者は膨大であると述べられました。

長期隔離による優生政策被害に目を向けるべき

リプロダクティブ・ライツの侵害を独自の人権侵害として位置付ける認識が欠如していたのでないか、運動団体の中でも隔離の問題だけを問題としていたが、結婚できなかったこと、子どもを持てなかったことも問題にすべきだったのでないか、長期隔離による優生政策にもっと目を向けるべきでないかと問題提起がありました。

声を上げられない現実をどう変えるのか

さらに、性的存在であることの否定は全人格を否定されるのと同じ被害。結婚したかったと被害を訴えられない現実をどう変えるのかも、弁護士の役割であるとメッセージを発せられ、とても心強く感じました。

優生政策の課題に向き合い、脱施設、インクルーシブ社会を作ることをめざしたいと思いました。  (文責:堀)

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