都構想の学習会をしました!
8月28日(金)に大阪地方自治体研究センターの山口勝己さんを講師にお招きして、大阪都構想の学習会を行いました。以下は学習会の概要になります。
こんにちは、山口です。私は、ちゅうぶの皆さんと長いお付き合いをさせていただいています。1983年に大阪市役所民生局に配属され、民生局支部から組合活動をスタートさせました。その頃、ちゅうぶの皆さんも中部障害者解放センターの立ち上げの頃だったと思います。障害者問題は本当にちゅうぶの皆さんに教えていただいたと思ってます。
5年前の住民投票の時は、もう都構想は終わったと思っていたのですが、また、住民投票ということになりました。悔しいと思いますが、今度こそ、大阪市が廃止され、特別区に分割されるということで、ちゅうぶの皆さんや障大連の皆さんが長年の運動の中で築きあげられたものが、脅かされる危険性がある課題ですので、ぜひ、一緒に反対の取り組みをしていただきたいと思います。
1 私たちに関係あることとして考える
皆さんは、都構想というだけで、難しいなと思われると思います。この難しさについて考えてみたいと思います。
例えばコロナウィルスが流行っていますが、医者でもない私たちには難しい、けれども、どうしたら感染しないのかとか、人に移さないのかとか、そういう自分との関わりで考えたら理解できると思います。ですから、分からないから考えないんじゃなくて、私たちに関係あることとして考えていくということです。
2 都構想は政治スローガン 大阪都にはならない
それから、5年前と違うのは、行政は5年前は「特別区設置の住民投票」と言っていたんです。今回は、大阪市も大阪府も「都構想」と言っている。「都構想」というのは大阪維新の会という地域政党の政治スローガンで行政用語ではないんですよ。この住民投票が賛成多数となっても「大阪都」にはならないんです。
3 大阪市がなくなり4つの特別区へ
だけど、確実に、大阪市はなくなります。大阪市役所もなくなり、4つの特別区、北区、淀川区、中央区、東住吉を含む天王寺区ができる。北区の人が払う税金と天王寺の人が払う税金は違います。お金持ちの区とそうでない区ができます。
それと、平野区とか東淀川区とか市営住宅が多いです。北区とか中央区は少ないんですよ。市営住宅は生活保護を受けている方も受け入れますが、逆にお金持ちの方の入居はありません。住宅福祉という考え方で整備されています。そしたら、どうなるかというと、大阪市はなくなるのだから、淀川区営住宅、天王寺区営住宅になります。福祉を必要とする人の住宅ですから、障害を持つ人も高齢者の人も経済的にしんどい人も入れるわけです。だから、福祉を必要とする人が多くいる区が、税金(税収)が少ないにも関わらず、多くのことをやっていかないとならないということです。
4 特別区の差がだんだん大きくなる
都構想の本質は、特別区構想ということです。その特別区のどこに住んでも同じということでなくて、どの区に暮らすのかでずいぶん差が出てくる可能性があります。そして、その差はだんだん拡大します。なぜかというと、淀川区が一番顕著なんですが、建て替えないといけない古い公営住宅がたくさんあるんです。2025年1月1日に特別区になると言っていますが、それまでに、借金でたくさん建て替えるんです。その借金は新しい特別区の淀川区の借金です。将来もっともっと建て替えなければならない淀川区や天王寺区は非常に厳しい。
今は、大阪市全体で財政運営しているから、市内のどこに住んでも同じような福祉や教育を受けることができます。けれども、都構想で4つに分かれると、それぞれの区しだいになるので、本当に維持できるかわからない。
本日、配った「都構想まるわかり」って、皆さんの身近な形で問題を知ってもらおうと思って、書いていますので、ぜひ、読んでいただきたいと思います。
また、もう1冊の「『大阪都構想』ハンドブック~『特別区設置協定書』を読み解く」という100頁ほどの本ですが、6つのエピソードを解説につけています。ですから、都構想のことを考えてみたいと思っていただける方はぜひこちらも読んでいただければと思います。
意外なところで、自分たちの身に降りかかってくる問題だということで、都構想についての関心を持っていただければと思います。
5 都構想の本質はお金 市の税収の3/4が府にとられる
「都構想」というものは、その自治体の運営の話ですが、本質はお金です。
大阪市民が払う税金はすごくたくさんありますが、その7割は国税で、国が税金として持って行ってしまう。だから、本当でしたら、大阪市民や大阪府民が払う税金で大阪の福祉はものすごい水準の福祉とか実現可能だけど、7割が国に入るので、大阪市も自分たちの税金では賄えないという事態になっています。これは、神奈川県とか横浜市とか大きいところも同じですが、例外があります。東京都は例外です。東京都は多くの国税を払ってもなお豊かで、地方交付税の不交付団体です。
地方交付税について、簡単に言うと、憲法に保障された住民サービスを大阪市がきちんと必要最低限のことをするためには、例えば、100億円必要なのに、大阪市が自由に使える税金が80億円しかなかったら、20億円足りない。これを国がくれるということです。でも、国がくれるといっても、もともとは大阪市民が払った税金なんですよ。でも、国から降りてくるから、国の言うことを聞かないといけないようになる。
そんなふうに考えたときに、大阪都構想というのは、大阪市がそれまでもらっていた税金の3/4を大阪府の税金にしてしまうということ。大阪府から特別区は配ってもらうという関係になる。だから、大阪市として税金の使い道を決めるのが、大阪市の一番の責任だった。市民の皆さんの声が反映された使われ方をしているという実感があれば、都構想で大阪市の税金が大阪府にとられるのはあかんって思うでしょう。
みなさんは、障害者の運動で、いろんな制度を勝ち取ってこられた。それは、大阪市の税金を障害者市民のために使うということです。それが、大阪市がなくなり、税金が大阪府に移ると、必要最低限のお金しか府から特別区に配られなくなります。それ以上ことをしたかったら、特別区のお金でしたらいいということになる。でも特別区にはそんな余裕はない。それが都構想です。
6 4つの特別区に分割すると高くつく
皆さんは大阪市役所に交渉に行くでしょう。大阪市に要望して実現したこともあると思いますが、今度からは、無い袖は振れないということになる可能性が高い。
どうして、そうなるかというと、交付税は必要額と収入額の差額をもらえるということですが、大阪市が一つの政令市の時は275万人のスケールメリットがあって、効率的に行政サービスを提供できる状況だったのが、4つの特別区に割るということで、単純に言うと、区長さんも4人になる、大阪市長さんは1人でしょう。区長さんの給料が余分にかかります。実際に仕事の効率も悪くなるし、お金も高くつく。
一人暮らしって結構高くつく。一人でも、家賃も電気代も水道代もみんないる。4つに割れば、100億円の支出で、80億円の収入。国から20億円交付税としてもらうのが、110億円の支出になれば国に30億円もらわないといけなくなりますが、これまでどおり20億円しか交付税は払いませんというのがルール。都構想をすることによって、特別区の人たちが苦しみ損をする。
7 都構想は、始める前から財源がたりない 行革が前提
その証拠をお話します。法定協議会で提出された資料ですが「配分割合の算出」の図を見てください。
Gの必要財政調整額4664億円とあるのが、大阪府から、これだけの財政の配分がなければ仕事ができませんという配分必要額です。そして、その下に財政調整財源4515億とあります。そして、その下に、さらに小さい文字で、差額149億円と書いてあります。
財政調整に使える財源は4515億円しかないのだけど、必要な仕事を特別区がするための財政の配分は4664億円必要。簡単に言うと、149億円赤字ということです。※の説明を見ると、「必要財政調整額と財政調整財源の差が生じ、不足額がある場合には、配分割合に応じて、特別区と府で行財政改革等の対応が必要」と書いてある。つまり、149億円足りないから、節約してくださいねっということ。
敬老パスやめるか、何を節約するか、方法は決めたらいいけど、お金はこれ以上出せませんよっていうこと。
4つの特別区に分割することで、高く経費がかかるような構図をわざわざ作っておきながら、それを補てんするような税金を国からとってこれるわけでもなく、赤字は行政改革で、つまり、サービスを低下させたりして工面しなさいというのが大阪都構想です。
だからこそ、危ない!ということに気がついていただければということです。
大阪市民にしか投票権がありませんが、ぜひ、訴えていただければと思います。
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